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GEM IDENTIFICATION & RESEARCH
TOKYO BANGKOK

THE FUNDAMENTALS OF GEMMOLOGY

宝石を知るための、
はじめの一歩。

結晶、色、硬度、産地、カット。
宝石の見方が少し広がる、六つの基礎知識。

同じ鉱物から、
違う名前の宝石が生まれる。

宝石名と鉱物名は、いつも同じではありません。たとえばルビーとサファイアは、どちらもコランダムという鉱物。エメラルド、アクアマリン、モルガナイトは、いずれもベリルの仲間です。色や特徴によって、宝石としての呼び名を分けています。

結晶は、原子などが規則的に並んだ構造をもつ物質です。外から見える形だけでなく、内部の対称性にもとづいて分類します。七つの結晶系に分けると、代表的な宝石は次のように整理できます。

七つの結晶系と代表例
結晶系宝石・鉱物の例
等軸晶系(立方晶系)ダイヤモンド、スピネル、ガーネット
正方晶系ジルコン
六方晶系ベリル(エメラルド、アクアマリンなど)
三方晶系コランダム、クォーツ、トルマリン
斜方晶系クリソベリル、ペリドット、トパーズ、ゾイサイト
単斜晶系ジェダイト(ヒスイを構成する鉱物の一つ)
三斜晶系斜長石の一部(灰長石など)

色は、光との出会いで変わる。

宝石の色は、含まれる元素や結晶の状態、内包物などに関係します。色を比べるときは、色相(どんな色か)、明度(明るさ)、彩度(鮮やかさ)を分けて考えると整理しやすくなります。同じ照明と背景で観察することも大切です。

多色性
結晶を見る方向によって、異なる色や色の強さが見える性質。トルマリンやタンザナイトなどに見られます。
変色効果
光源が変わると色が違って見える現象。アレキサンドライトが代表例です。
遊色効果
角度によって色の光が移り変わる現象。プレシャスオパールでは微細な構造による光の回折が関わります。
キャッツアイ・スター
向きのそろった内包物などに光が反射し、帯や星状の光が現れる現象。カボションに研磨して観察します。

写真や画面の色は、照明・撮影・表示環境で変わります。色だけから鉱物名、処理、産地を特定することはできません。

「傷つきにくさ」と、
「割れにくさ」を分けて考える。

モース硬度は、鉱物同士が引っかき合うときの抵抗を1〜10で比較したものです。数値の間隔は等しくなく、硬度10が硬度5の2倍硬い、という意味ではありません。完成した宝石を引っかいて試すと傷になるため、ご自身での硬度試験は避けてください。

1滑石
2石膏
3方解石
4蛍石
5燐灰石
6正長石
7石英
8トパーズ
9コランダム
10ダイヤモンド

モース硬度の標準鉱物。等間隔の表示は順位を示すためのものです。

硬度
擦れや引っかき傷に対する抵抗。ダイヤモンドは10、コランダムは9、クォーツは7。
靱性
欠けたり割れたりすることへの抵抗。ヒスイのように、集合組織による粘り強さをもつ宝石もあります。
劈開(へきかい)
特定の結晶方向に割れやすい性質。ダイヤモンドやトパーズは硬度が高くても、衝撃で欠けることがあります。
安定性
熱、光、薬品などに対する性質。退色や処理剤の変化などにも注意が必要です。

産地は、生まれた場所の情報。

宝石は各地の地質環境で生まれます。本辞典の「代表的な産地」は、知られている産出地の一例です。現在の供給量の順位や、目の前にある宝石の産地を示しているわけではありません。

個々の宝石の原産地は、内包物、成分、分光特性などを調べ、既知の産地の比較資料と照合して検討します。異なる産地の特徴が似ている場合もあり、結論が出ないこともあります。産地名だけで一石の品質が決まるものでもありません。

JGRLの鑑別・検査サービス

かたちを選び、光を引き出す。

ラウンド、オーバル、ペア、クッションなどは、上から見た輪郭を表す「形状」です。一方、ブリリアントやステップは、研磨面(ファセット)の配置を表す「カット様式」。同じオーバルでも、面の配置が異なることがあります。

BRILLIANT

ブリリアント・カット

三角形やひし形の面を組み合わせ、光の反射を生かす様式。ラウンド以外の形状にも使われます。

STEP

ステップ・カット

階段状に並ぶ面が特徴。エメラルド・カットは、角を落とした長方形の代表的な例です。

MIXED

ミックス・カット

ブリリアントとステップの配置を組み合わせる様式。ルビーやサファイアでよく見られます。

CABOCHON

カボション・カット

上面を丸く磨く様式。スターやキャッツアイの光を見せる石、ヒスイやオパールなどに使われます。

図はカット様式を説明する模式図です。原石の形、色の分布、多色性、内包物などを考慮して研磨します。真珠は通常、カットせずに使います。

種類と処理を、それぞれ確かめる。

天然宝石
自然界でできた宝石。天然であることと、無処理であることは同じ意味ではありません。
合成宝石
天然の対応する宝石と基本的に同じ化学組成・結晶構造などをもち、人の手によって育成されたもの。
模造石
別の素材で宝石の外観をまねたもの。たとえば、ガラス製のルビーの模造品などがあります。
処理
色や透明感などを変えるための加工。加熱、照射、含浸、充填、染色などがあり、方法によりお手入れも異なります。

鑑別は、宝石の種類や天然・合成の区分、検出できる処理などを調べることです。品質のグレーディングや、売買価格の査定とは目的が異なります。

READING & REFERENCES

参考資料

公開資料をもとにまとめた学習用の一般情報です。個々の宝石の鑑別結果を示すものではありません。
資料確認日:2026年10月19日